ディアブロの思い出 後編

「やあ、一緒に潜らないか?」

 

フレンドリーに話しかけてきたその男。

私は快諾して共に迷宮へと潜りました。

 

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深層に至り、それなりに強力な敵達との死闘の中、

突如背後から爆破、炎上する私。

なんだ、いったい何事かと混乱しました。

 

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奴です。

奴が突然裏切って味方である私を攻撃してきたのです。

 

当時の私はウブなネンネでした。

今時の平和で親切なオンラインゲームと違い、

当時は他人に襲われて殺されたり装備を奪われることなど日常茶飯事。

この日まで健全に安全な日々を過ごせていたことは奇跡的だったのかも知れません。

同行している仲間が突然自分を攻撃してくるなど思いもせず、

私は為す術もなく倒れ伏しました。

 

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そして私の死体の周囲に散らばる所持品と現金。

奴は私の荷物をそっくりそのまま懐に入れると、

村へと帰還するワープポータルを使って去っていきました。

jerk(マヌケ野郎)とか言われた気がしますが、あまりの出来事に記憶が曖昧です。

 

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私は全てを失いました。

人としての尊厳も、人を信じる心も、大事な斧も。

大事な斧も。

 

数日ショックで寝込みましたが、

私はあのクソ外人に復讐を決意するや再び立ち上がりました。

 

奴のキャラクターネームを心に、いや魂に刻み込み、

リザード社の運営するバトルネットを彷徨って仇敵を探す日々。

 

ぶっ殺してやる。

必ずぶっ殺してやる。

そして奴の死体から耳を切り取って飾ってやる。

(他プレイヤーを殺した証拠アイテムとしてゲーム中にあるんです)

 

しかし残念ながら復讐はおろか、再会も遂げることなく今日に至ります。

 

例えば幼少の時に遭遇した強烈な体験によって歪んだ性癖を持ってしまう。

そんなことは誰にでも大なり小なりあるかと思います。

私にとってはこのディアブロにおける斧強奪PK事件がそのようなものでした。

 

人間不信に陥って自らもPKを繰り返すようになった訳ではありませんが、

オンラインゲームのことに思いを馳せると、この時の強烈な体験が想起されるのです。

そして同時にやっぱりオンラインゲームって最高に刺激的で面白いな、とも。

 

DV男(たまに優しさを発揮)から離れられない女性と、

同じような境地へ至ったというか、危ない沼にはまり込んだのかも知れません。

 

あれから色々なオンラインゲームを遊んできました。

未だに強い執着を持っているものの、すっかり心身ともに老いつつある私にとって、

今の世代の主流オンラインゲームの作りには馴染めないところもあり、

ここ数年は満たされぬ思いを抱えております。

 

これまで苦手であるが故に避けていたPC界隈のゲームに

本格的に手を出してみようか、という心境の変化もあり、

今後は欲求不満を満たしてくれる作品に再び出会えることを楽しみにしています。

 

さて、そんな昔懐かしい初代ディアブロですが、

ブラウザ上で遊べるようになって帰ってきたそうです。

 

 https://d07riv.github.io/diabloweb/

 

相当の物好きでもなければ今頃遊び直すことはないだろうと思いますが、

ぬるま湯の時代、クソ野郎にぶっ殺されて装備を奪われるのも乙かも知れません。

 

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※貼ってある画像は全て拾いものです