老害だからそろそろ何かくるかな?と思ってたらやっぱり病気になった その5

突然左の金玉が痛くなる。

絶対精巣の危ない病気だ、摘出とか嫌だ死にたい。

と思っていたら実は血管の病気で、人生初の手術になった。

 

病名は「精索静脈瘤」(せいさくじょうみゃくりゅう)

 

手術は全身麻酔を伴うため、立会人が必須となるものの、

私には身寄りも友人もいないので立会人を用意できない。

 

どうしよう。

このままでは手術できないぞ。

ずっと金玉が痛いままなんて生き地獄だ。

 

そうだ、おっさんをレンタルしよう。

おっさんに立会人をお願いすればいい。

 

まとめるとそれだけのことなんですが、

思ったよりだらだらと長くなってしまってしまいました。

 

さて、いよいよ手術当日です。

前日は夜9時以降の食事は禁止。

当日は朝8時以降は水分も摂っちゃだめ。

 

身寄りのない私に残された最後の味方、それはおっさんレンタル

一時間1000円という価格でおっさんを派遣してくれる謎のサービス。

そのおっさんレンタル様に立会人をお願いすることにしたのです。

 

価格が安過ぎることでちょっと色々と心配していたのですが、

担当のおっさんとは何度もメール交換をして打合せを重ねていました。

 

やだ、なんかオフ会みたいでドキドキする・・・(///)

 

そんなことを考えながら病院の最寄り駅にて待ち合わせ。

無事に担当してくださったおっさんとお会いできました。

 

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おっさんのイメージ

このようにブログに書く許可を頂いておらず、

おっさん様のご迷惑を考えて詳しくは書けませんが、

日帰り手術とはいえ、この日は長時間付き添って頂くことになりました。

担当のおっさん様には深く感謝しております。

 

往復の交通費と、1時間につき1000円の取り決めなのですが、

私は前もっていくらか多めに渡しました。

厳密には渡す必要はないんですけどね。

 

大人の男性を平日の昼間から長時間拘束しておいて

1時間1000円はないでしょ、ないない。

 

せめて待ち時間には何かお好きな物を飲み食いして頂かなければ

申し訳が立ちませんので。

 

病院までの道すがら。

また手術までの待ち時間におっさんとは色々と話しました。

 

「なんでこんなこと始めたんですか」

 

これがもう聞きたくて聞きたくて。

だって1時間1000円ですよ。

儲けることが目的ならまずやりません。

 

在籍しているおっさんの数だけ考えがあるんでしょうが、

この場ではお金だけではない、心の報酬を求めるおっさんの姿に、

私は深く感銘を受けた、とだけ書かせて頂きます。

 

素敵です、おっさん。

 

気になった方は是非利用してみてください、おっさんレンタル。

草むしりとか引っ越しの手伝いといった便利屋さんのような要件から、

一緒に飲み食いするだけでも依頼はできるようなので。

 

そんな頼もしいおっさんと一緒に病院に到着。

まず私は担当の先生に必殺技を繰り出しました。

そう、賄賂です。

 

なごみの米屋という有名な和菓子屋さんの季節のお菓子。

 

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梨ゼリー

買っておいたんですよ、出発前にね。

手術の前には医師に袖の下を渡しておくと

成功率上がるってなんかの医療漫画で読みましたからね。

札束は無理ですが、お菓子で済むなら安いものよガハハ。

 

「何卒、お手柔らかに・・・」

 

「あ、こりゃどーもどーも」

 

「いえいえ、どーもどーも」

 

こうかはばつぐんだ!

 

その後、血圧を測ったり、当日の体調に問題はないかとか、

食事制限はちゃんと守ったかという確認を受けたのち、

手術用のガウンに着替えて病室にて待機。

水分補給の点滴を装着し、いよいよ手術室へ。

 

ストレッチャーに寝かされて廊下を慌ただしくガラガラー!

なんてこともなく、自分の足で歩きました。

 

心電図を図る為のアレを全身に手際よく装着され、

水分補給用だった点滴の薬剤を麻酔液に交換。

 

麻酔薬が入る時ちょっと痛いですよ、と言われる。

液体の粘度とか重さの違いなんでしょうか。

確かにじわりチクチクとした痛みがありました。

 

いよいよ生まれて初めての全身麻酔

 

実はこれが楽しみで。

一瞬で眠りに落ちるとか言うじゃないですか。

どんな感じなんだろう、と緊張よりもわくわくしていました。

 

コロナ対策で手術室でも私はマスクをしたままでしたが、

吸入器をマスク越しに口元に当てられ、深呼吸しろと言われました。

麻酔ガスは特に味も匂いもなく。

ピッピッピッという自分の心拍数を示す音だけが響きます。

 

点滴による麻酔液の投与と、

麻酔ガスによるダブルパンチ。

しかし。

 

あれ、これほんとに効いてるのか?

深呼吸を繰り返すも、全然眠くならない。

効かなくて中止でキャンセル料だけ払えとか嫌だぞ。

ちゃんと食事制限守ったのにそりゃないよ。

麻酔を妨げるらしい喫煙だってしてないのにさあ。

 

ピッ!ピッ!ピッ!ピッ!

内心の焦りを反映してか、突如激しさを増す心拍数の音。

 

「プッ、見ろよこいつ手術にビビってやがるぜ」

 

取り囲む看護師さん達にそう思われるのも嫌なので、

平常心を意識して深呼吸を再開することに。

 

ピッ・・・ピッ・・・ピッ・・・

どうよ、あっという間に正常に戻ったぜ

 

フフン、やはり人間呼吸よ

ジョジョを愛読してきた私にとって呼吸の大切さなんぞ

とっくの昔からこの体に沁み込んで

 

「はい、起きてくださーい!」

 

「!?」

 

起きたら病室でした。

睡眠から覚めるのとは明らかに違う覚醒感覚。

つい一瞬前まで深呼吸していたことをハッキリ覚えているのに、

下腹部のズキズキした痛みが手術完了を告げています。

 

私は戦慄しました。

まさに身をもってキングクリムゾンの攻撃を味わったのです。

 

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一瞬で覚醒したものの、頭も体も重い。

もぞもぞ動き、ピラッとガウンをめくると

下腹部にガーゼが貼ってあり血が滲んでおりました。

 

すげえ。

これが全身麻酔かすげえ。

っていうか傷が痛いズキズキする痛い痛い。

 

と言うと

 

「え、痛いんですか?」

 

と驚かれる。

なにそのリアクション。

普通の人は痛くないんですか。

 

鎮痛剤をもらい、麻酔が抜けるまで一時間放置。

病室には立会いのおっさんがおり、

聞くと昼飯にペッパーランチ、

それからコメダコーヒーに行ってたとのこと。

 

椅子が固くてお尻が痛いとボヤくおっさん。

長時間待たせてやっぱり申し訳ない気分になってくる。

 

おっさんと話そうとするもうまく声が出ない。

麻酔の影響か、手術による体のダメージか。

 

下腹部を横に3センチほど切って、そこから血管の束を引き出し、

該当する静脈を切断、処置してから体内に戻して縫合。

というような手術を行いました。

 

手術室に入ったのが12時30分頃。

覚醒したのが3時頃だったような気がするので、

手術時間は2時間半ほどでしょうか。

 

担当医師によると、血管の作りは人によって違うが、

あなたの場合やたら太い静脈があって作りが単純だったので楽だった

という褒められたようなコケにされたような説明を受ける。

 

4時頃になると麻酔も抜けてきたようなので、

看護師さんと一緒に歩行テストを行いました。

 

夜中に目覚めてトイレに行く時のような、

体が半分まだ眠っているような状態でしたが、

なんとか歩行は出来たので、無事に退院許可を得られました。

 

手術費用は思ったより安かったです。

この日の手術代だけで5万7000円(社保三割負担)でした。

麻酔の量や手術にかかる時間でも変わってくるそうです。

血管の作りが単純だったことを誇るべきでしょうか。

 

さて、私の場合は日帰り手術ということなので、

このまま帰れるのかと思いきや、

手術当日は公共交通機関の利用は控えろという決まりがありまして。

 

車の運転をして自宅まで送ってくれる付添人がいるならば、

自宅にも帰れるそうですが、私の場合は

すぐ近くのビジネスホテルで一泊せざるを得なくなりました。

 

この辺りは手術前に説明があったので了承していたんですが、

単純に日帰り手術と言っても色々と制約があるようです。

 

手術代の支払いや、薬局で痛み止めの受け取りなどを済ませると、

結局夕方5時までおっさんを付き添わせてしまいました。

駅まで見送って、感謝を伝えておっさんとは別れました。

 

価格を考えると、まるでボランティアに近いサービスです。

でも確かに私はおっさんに助けてもらいました。

ただただ深い感謝の念しかありません。

 

ありがとう、おっさん。

ありがとう、おっさんレンタル。

 

手術直後だけによたよたとしか歩けず、

下腹部だってじわじわと痛むものの、

同時に猛烈に空腹を覚えました。

 

全身麻酔というものは、ほぼ死ぬことと同じらしく、

呼吸機能や臓器の動きも完全に停止してしまうそうです。

 

加えて麻酔の作用もあるので、術後に空腹を感じても

脂っこい、重たい食事を摂ろうとすると

覚醒したばかりの胃腸が食べ物を受け付けず、

吐いてしまう場合もあるとのことでした。

 

しかし昨日の夜から実質何も食べてない訳で。

そりゃ腹も減ります。

 

何なら食べられるかな。

でもコンビニのおにぎりとか、

ウィダーインゼリーとかはいやだなあ。

 

おっさんが昼飯を食べたというペッパーランチはあそこか。

いや、死ぬわ。

今ペッパーランチは死ぬわ。

 

結局辿り着いたのは駅の改札横にある立ち食いそば。

温そばとミニカレーセット。

 

カレーはいけるか。

今の私は耐えられるのだろうか、カレーの圧に。

とか一瞬券売機の前で色々考えましたけどもね。

 

カレー食えたらもう大丈夫だろうと。

カレーは健康のバロメータだろうと。

そう思ったんですよ。

 

おそばやさんのカレーって美味しいですよね。

だしが効いてる和風カレーで、色が黄色いやつ。

 

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私の思い描いたおそば屋さんのカレー

 

お、さすが立ち食い。

出てくるのも早い、もうきたぞ。

 

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出てきたもの

 

ん?

あれ、このカレーのビジュアル・・・

これは・・・まさか・・・

 

ククレカレーでは・・・?

 

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私は日頃から低価格帯のレトルトカレーであれば、

攻めのボンよりオールマイティーなククレを愛食してるからわかります。

 

絶対ククレカレーだこれ。

サイコロカットの野菜でバレバレだこれ。

味だってククレだよ、間違いないぞこれ。

 

いやあ、ここでククレは違うでしょ。

美味しいけど、ククレカレー美味しいけども。

外でわざわざ食べたくない味でしょう。

 

ここで一気にきましたね。

 

手術で受けたダメージ。

完全には抜けきってはいない麻酔の影響。

一種の興奮によって抑えられてきた諸々が、

ククレカレーという家庭の味をきっかけに一気にきました。

 

空腹だけに完食したものの、

そのまますぐにホテルへ直行し

ベッドに倒れ込むと同時に、痛みが戻ってきました。

 

手術と言っても今回は比較的簡単なものであって、

大の大人が泣き叫ぶみたいな壮絶なものではないのですが、

やはり腹を切った痛みというのは生々しいものがありますね。

 

ああ、これこのまま眠るのは無理なやつだな痛てててて。

 

痛み止めの錠剤、感染症予防の抗生剤、さらにとどめに座薬。

もらったお薬を総動員して1時間ほどベッドの上で唸っておりました。

薬が効いて楽になってきたら、そのまま朝まで就寝。

 

翌朝、傷口が開いて血まみれスプラッターなんてこともなく。

痛みと出血はあるものの、昨夜よりは随分マシに。

一夜明けて解禁されたシャワーを浴び、帰途に就きました。

 

数日後に術後の経過を見るために再び来院。

血の滲みが長引いたのですが、縫合糸の結び目部分は

どうしても癒着までに時間がかかり、

このように出血が見られる場合があるとの説明を受けました。

 

その他は良好。

 

指で患部周辺を押すと強く痛むものの、

血管を切ったのだから痛くて当たり前でしょと言われる。

なるほど、そういうものか。

 

縫合に使われた糸は埋没して自然と消えるらしく、

抜糸は必要ないとのことでした

 

縫った痕はもっとグロいものを想像してましたが、

黒い線が横に一本走っているという程度であまり目立たず。

 

表面は触れると固く盛り上がっていて、まるでかさぶたのようです。

また一か月後に見せに来いと言われて帰宅しました。

 

今のところ、無事に仕事にも復帰しております。

 

さて、人生初の手術ということで、

面白おかしくネタにできたらいいなあと思ってはいたんですが、

実際に病気というものを抱えると、やはり心細くなるものです。

 

同様の体験談であるとか、問題の解決策のようなものを

ネットの情報から拾い集めると、

それはそれで一定の安心感を得られますものですよね。

 

ネットの情報を鵜呑みにして自己判断だけで終えるのではなく、

病院にて適切な診断を受ける、ということが第一ではありますが、

仮に今どこかで突然始まった金玉の激痛に困惑している人がいたとして、

股間を押さえて悶絶しながら偶然このブログの記事を見て

 

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「これ、同じ病気かも知れない」

「自分も手術になった場合にどういう流れになるのか」

「入院になるのか、日帰り手術も可能なの?」

「立会人がいない場合は?手術費用はどれぐらいだった?」

 

というような数々な疑問のヒントになれたら、と思います。

繰り返しますがまず病院に行って診察を受けることが第一ですけどね。

 

泌尿器科でスポーンとやりましょう。

恥ずかしがる必要なんてありません。

一握りの勇気を胸に、全て曝け出しましょう。

 

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長引きましたが、手術の体験談はこれで終わりです。

皆様、金玉は大事にしましょうね。