ロストオデッセイの思い出

Xbox360というゲームハードに夢中になった時期がある。

そのようなことを以前の記事で書きました。

 

今はもう国内市場はさっぱりなXboxですが、

一時期はものすごい勢いがありました。

あったよね?

 

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みんな大好きファイナルファンタジーシリーズの産みの親、

ヒゲのおじさん(左)と、ヒゲのおじさん(右)のコンビ。

この二人がXbox独占で新作RPGを作ったりしたこともあったんです。

 

第一弾のブルードラゴンは今回は飛ばして・・・

 

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ブルードラゴン

 

鳥山明デザインでこちらも大層魅力的でしたけどもね。

今回は第二弾のロストオデッセイの方です。

 

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ロストオデッセイ

ドラクエを彷彿とさせるブルードラゴンと比べ、

キャラデザに井上雄彦を据えて随分とアダルティーな印象。

 

ファイナルファンタジーのCG映画がコケて、

会社辞めてハワイに引っ込んでしまったヒゲのおじさん。

 

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そんなレジェンドなヒゲのおじさんが帰ってきた!

Xbox360で新作RPGを作るんだって!

それってもうファイナルファンタジーの新作じゃん!

当時そんな期待をしなかったゲーマーがおりますか。 

 


ロストオデッセイOP

 

オープニング、興奮しましたね。

剣と魔法のファンタジーにメカが混じってくる世界観。

ああ、そうそう。

ファイナルファンタジーってこういう感じだったよね。

「魔導」による産業の発展とか言われたらもう。

 

さすがに今見るとショボく見えないこともありませんが、

ムービーから途切れず流れるように最初のイベント戦闘に

突入する場面はやっぱりかっこいいなと思いました。

 

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このロストオデッセイ、いざ蓋を開けてみますと

作りは実にオーソドックスなコマンドバトルRPGながら、

主人公の設定やらストーリーがなんとも風変わり。

 

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カイム・アラゴナー


主人公カイム・アラゴナーは不老不死。

もうかれこれ1000年は生きてるらしい。

でもゲーム開始時点で本人は記憶を失っているので、

不死の理由すらわからない。

 

それって、ただ自分を不死だと思い込んでいる頭のおかしい人なのでは?

 

と思わせておいて、戦場に隕石が降ってきた際に生じた

溶岩流に飲み込まれながらも一人だけ生還したりする。

 

戦闘中にHPが0になるとぶっ倒れて戦闘不能にはなる。

でもしばらく寝てればムクッと起きる。

 

それって、主人公がもう強すぎてゲームにならないのでは?

 

と思わせておいて、全滅すればその場でゲームオーバーになる。

ムクッとするまで待ってくれないので強いんだか弱いんだか。

 

演じているのはトヨエツこと豊川悦司。

ボソボソ喋るけど、得体の知れない主人公には不思議とマッチ。

 

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不死身のトヨエツ、ゲーム開始時にはこのガンガラおじさんの子分。

ガンガラおじさんは室伏広治(北米版)みたいなビジュアルだけど、

すごい魔法使いだし、政治力もあるのでトヨエツは逆らえません。

そんなガンガラおじさんからお使いを頼まれたトヨエツ。

 

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セス

主人公と同じ不死者の元女海賊セスおばちゃんがお供に。

っていうか不死の人ホイホイいるんかい。

パワーファイタートヨエツと比べ、スピード型の女戦士です。

 

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ヤンセン

魔導士ヤンセン。

なんで俺が同行しないといけないんだよマジ嫌なんですけど。

と、それでも金目当てで仲間になるチャラ男。

この三人で旅に出るところから本編が始まります。

 

ヤンセンは不死者ではない一般人です。

さすがに千年を生きている二人に比べたら弱いのかな?

と思わせておいて、最初のボスはヤンセンがいないと勝てない。

不死者はほんと強いんだか弱いんだか。

 

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あとは戦乱の世を旅しながら、

自らの不死の秘密なんかを究明していく流れになっていきます。

ゲームの作り自体は初めに書いた通り正統派のJRPG。

 

変わっているのはストーリーの最中に挿入される

カイムの過去の思い出を描いたサウンドノベル演出です。

 

街の人との会話、目にした風景。

旅の中でふとした時に失われた記憶の断片が蘇る。

 

これは「千年の夢」という題で、

有名な作家の重松清が担当しているのですが、

この出来が物凄く良い。

個人的にはこっちを本編と呼びたいぐらいです。

 

え、今いいところなのにここで「千年の夢」きちゃうかあ・・・

そう思っていても読み始めて1分後には引き込まれてしまう。

 

記憶の中ではカイムは傭兵であったり、

市場に住み込みで働いていたり、または家庭を持つ良き父であったり。

ああ、本当に千年を生きてきたんだなと実感させてきます。

 

個人的に

「グレオ爺さんの話」

「コトばあさんのパン」

「さかのぼる民」

辺りのエピソードがすごくツボでした。

 


千年の夢 『グレオ爺さんの話』

 


ロスト オデッセイ 千年の夢 「さかのぼる民」

 


ロスト オデッセイ 千年の夢 「白い花」

 

年がら年中ゲームを遊んでいますとね、

そりゃ面白い、楽しいゲームとは沢山出会うものです。

でもこうしてわざわざブログで語りたい!

とまで思えるものって、そう多くはありません。

 

ロストオデッセイにこの「千年の夢」がなければ、

こうやって記事にまではしてなかった気もします。

 

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そうなるとですね、困ったことになりまして。

なんでこっちを本編にしなかったんだろうと考えるようになったんです。

 

千年を生きる不死の男が主人公なのに、

ゲーム本編で経過する時間なんてほんの僅かな期間に過ぎず、

千年を生きる不死の男のただの最新の冒険譚。

それ、普通のRPGと変わらなくない?と。

 

もちろん、ストーリーは設定を生かしてはいます。

 

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例えばこの派手な手錠で拘束されている老人。

彼は仲間の一人で機械に強いセドです。

シドじゃない。

セド。

 

「ママ、この人、ウーラの王様じゃなかったか・・・?」

 

ママってなんだよ。

老人のくせに気持ち悪いなあ。

そう感じるかも知れませんが、実はママは左にいます。

 

セドはセスおばちゃんの子供なんですね。

不死者は子孫は作れるものの、

不死の宿命は受け継がれないため、こんな展開に。

 

カイムにも似たような出会いと別れが劇中で描かれます。

 

千年を生きた男が、千年を生きた果てに何を思うのか。

このゲームを締めくくるカイムの最後の台詞も

すごく印象に残りました。

 

それでもまだ弱いと思ってしまうんです。

 

私は実際に千年に及ぶ旅をしたかった。

千年の夢という番外編ではなく、ゲームの本編で。

 

例えば序盤に訪れる何もない荒れた土地に、

後年人々が集まり始め、小さな集落が出来て、

それがやがて村に、大きな街になり、

災害や戦争の度に灰燼に帰す風景を目の当たりにしつつ、

決して挫けぬ人々によって再び復興していく。

 

そういった人間の営みを、

不死の旅人という傍観者の視点で、

眺めてみたかったなあと思うのです。

あの時に出会った子供が長老に、みたいな話に弱い。

 

もしロストオデッセイがそんな作風を終始貫きつつ、

中身はしっかりRPGしているゲームだったなら。

自分の好きなゲームランキングのどれだけ上位に食い込んでいたことやら。

 

というような話をですね、

ごく稀にロスオデの話をしている場を見かけては、

自分はこう思うんですけど皆さんはどうです?とか尋ねてみるんですけど、

大抵軽くあしらわれるか、あるいはボッコボコに叩かれるという。

 

なぜ?

なぜなの?

みんなラスボス戦で流れる通称「お経ラップ」さえあれば満足なの?

 


LOST ODYSSEY - 亡魂咆哮

 

いや自分も大好きですけどねこれ。

ソイヤッ!(3分以降の和太鼓からが本番)

 

旧作かつマイナーハードだけに遊ぶのは難しいけれど、

千年の夢は小説にもなっているので、興味があったら読んでみて・・・

 

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